ご挨拶
名誉院長
鷲見 正敏
整形外科は身体を動かして支える「運動器」を扱う診療科です。
みなさんの身体を動かしてスムースに生活するための「運動器(骨・靭帯・関節・筋肉・腱そして脊髄から始まる神経)」に発生した異常や痛み・しびれに対応しています。
「運動器」に不具合が生じますと、最低限の動作も思うように行えなくなります。整形外科では、これらの困った状態を診察評価させて頂くことで、その原因を突き止め、それに対する最善の治療法を選択し、「より良い生活」を提供することを目標としています。
「運動器」は各部位ごとに専門性の高い領域があります。当院では、最善の治療方針を提案できるように、各専門分野の医師が診療に当たっています。外来担当表にありますように、肩関節疾患については坂井宏成医師(火曜午前:隔週)、スポーツ関連疾患については西澤勇一郎医師(金曜午後)、膝関節疾患とくに人工関節については石田一成医師(土曜午前:隔週)、脊椎疾患は鷲見正敏医師(火曜・木曜午後)が専門外来を行っています。
診療内容・特色
外傷」:転倒や打撲などで運動器が傷んで「骨折・脱臼・関節損傷・靭帯損傷・筋肉/腱損傷」などが発生します。ギプスやサポーターなどによる固定をして経過をみるだけで治ることも多いですが、そのままでは今後のより良い状態が望めないと判断した場合には、手術による治療を提案させて頂くこともあります。
「変性疾患」:年齢的な変化が進むことで運動器の具合がだんだん悪くなってくることがあります。「変形性関節症」や色々な「腱鞘炎」などが「変性疾患」と言われています。多くの方の症状は、投薬やリハビリなどの治療で軽くなります。時には、関節内などへの注射による治療を必要とすることもありますが、大部分の方の症状は、これらの保存治療で良くなります。ただ、これらの保存治療を受けても頑固な痛みが持続する方、生活を送るうえで悔しい想いをされている方には、手術治療を提案させて頂くこともあります。
「せぼねの病気」:「腰や頚椎、ヘルニアや狭窄症、骨化症」など様々な病気が含まれます。MRIだけで判断しないで、患者さんの訴えや直接触って診察した所見、X線所見など全ての材料を総合的に判断して、病気の状態を診断します。そのうえで、最善の治療法について検討しています。
主な疾患
圧迫骨折
その日のうちにコルセットを装着して頂くことができます(1週間も2週間も出来上がりまで待たなくてもすぐに使用できます)。
色々な場所の色々な骨折
骨折の部位や程度によって、より良い結果をえるために手術をお勧めすることがあります。
肩関節痛
「50肩(肩関節周囲炎)」など年齢的な「変性疾患」のために肩から腕にかけて痛くなって動かせなくなることは多くあります。薬や関節内注射、あるいはリハビリで良くなりますが、長い間改善しないでうんざりする痛みや転倒や腕をつくなどの軽い外傷をきっかけに出現した「肩関節痛」の中には、腱板という肩を動かす「腱」が切れてしまっていることがあります(腱板損傷・断裂)。MRIで「損傷や断裂」が確認された場合、関節鏡による治療をお勧めすることがあります。また、頑固な「50肩(肩関節周囲炎)」で肩の動きが長い間制限されているような場合やリハビリでも効果のない場合でも、関節鏡による治療で良い結果がえられることがあります。
膝関節の半月板損傷や靭帯損傷
スポーツによる外傷、あるいは、ちょっとしたひねりや着地などの軽いきっかけで損傷をきたすことがあります。保存的な治療でも効果のない場合には、関節鏡による治療をお勧めする場合があります。
各種腱鞘炎(腱鞘滑膜炎)
「ばね指、アキレス腱炎、足底腱膜炎」などがあります。局所への注射や靴の工夫、サポーターによる安静などで対応します。
変形性関節症
股関節や膝関節、ときには足首の関節や手足の指の関節などの色々な関節で、軟骨がすり減るために痛くなります。投薬・リハビリ・靴の工夫・装具・関節内注射などで対応し、大部分の方の症状は良くなります。ただ、こういった保存治療による効果が少ない、あるいは、患者さん自身が活発に動き回りたいのに悔しく想っておられる場合には、人工関節を入れる手術(人工関節置換術)をお勧めすることがあります。また、保険外の治療法(自由診療治療法)として、PRP注入療法も開始しています(予約制ですので、まず一般整形外科の外来を受診されてから予約をお取り下さい)。
腰痛症
2~3週間で治癒する「急性腰痛症」、数カ月を必要とする「慢性腰痛症」、「腰椎椎間板症」、「腰椎椎間関節症」など色々な原因による腰痛があります。これらについて理屈に合った治療法をリハビリも含めて行っています。
腰椎椎間板ヘルニア
最初は投薬で経過をみますが、疼痛の激しい場合には、症状や内科疾患の状態に応じて「仙骨ブロック」や「神経根ブロック」を行っています。また、これらの治療でも効果がえられなかった場合、条件さえ揃えば、1泊2日の入院を必要としますが、「椎間板内酵素注入療法(ヘルニコア®注入療法)」を施行しています。ブロック注射の効かない方でも、比較的多く(80%くらい)の方で症状が改善されていますので、手術を考える前に、施行してみる価値のある治療法だと思います。ただ、神経麻痺がある方や各種ブロックやヘルニコアが無効な方には手術についての説明もさせて頂いています。
腰部脊柱管狭窄症
腰椎椎間板ヘルニアと同じく、投薬・各種ブロックによる保存加療で対応しています。しかし、効果がさほどではなくて、麻痺など症状の強い方には手術治療の選択を提案させて頂いています。 「成人脊柱変形」:年齢を経ると徐々に「脊柱」の変形が強くなり、横方向への変形(側弯)や前方への傾斜(後弯)のため、長い時間立っていたり歩いたりが難しく、腰や骨盤・太ももにかけて痛くなってきます。強い痛みには投薬が有効ですが、コルセットや当院リハビリ科での「せぼねリハ」で対応させて頂いています。なかなか良くならずに悔しくて改善を強く望まれる方には、大きくなりますが「変形」を「矯正」して長い範囲を「固定」する手術について説明申し上げています。
医師紹介
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鷲見 正敏すみ まさとし
役職 名誉院長 略歴 1977年:神戸大学医学部卒業 1981年:カナダ国クイーン大学整形外科学研究室留学 1983年:神戸大学医学部医学研究科大学院修了 1986年:鐘紡記念病院 整形外科医長 1987年:国立神戸病院 理学診療科医長 1992年:国立神戸病院 整形外科医長 2004年:独立行政法人国立病院機構 神戸医療センター 整形外科医長(部長) 2005年:独立行政法人労働者健康福祉機構 神戸労災病院 整形外科部長 2007年:独立行政法人労働者健康福祉機構 神戸労災病院 副院長 2014年:独立行政法人労働者健康福祉機構 神戸労災病院 院長 2019年:医療法人社団まほし会 名誉院長(整形外科医) 認定資格 - 日本整形外科学会:専門医・脊椎脊髄病医
- 日本脊椎脊髄病学会:名誉会員・脊椎脊髄外科指導医・脊椎脊髄外科専門医
- 日本脊椎・脊髄神経手術手技学会 理事
- 日本リウマチ学会 登録医
- 日本骨粗鬆学会 認定医
- 日本職業・災害医学会 会員
- 日本成人脊柱変形学会 幹事
- 圧迫脊髄症研究会 世話人
- 脊椎外科同好会 世話人
- 特定非営利活動法人 兵庫脊椎脊髄病医療振興機構 理事長
- 特定非営利活動法人 国際頚椎学会日本機構 理事長
- 兵庫県労災保険診療費審査委員
- 兵庫県難病審査委員
- アメリカ頚椎外科学会:会員
- 国際頚椎学会アジア・太平洋部門:メンバーシップ委員会委員長
- 国際頚椎学会日本機構:理事長
- 雑誌「Spine」「AsianSpineJournal」:査読委員
- 日本整形外科学会:専門医・脊椎脊髄病医
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南川 剛みなかわ ごう
ひとこと 整形外科は首から下の痛みやしびれを中心に診る科です。患者様ひとりひとりに的確な診断と治療を提示できるように、日々精進してまいります。骨折などの手術もしておりますので、お気軽にご相談ください。
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坂井 宏成さかい ひろしげ
略歴 1995年:筑波大学医学専門学群 卒業 1995年:神戸大学病院整形外科 入局 2001年:神戸大学医学部大学院整形外科 修了 2001年:慈恵会新須磨病院 勤務 2002年:米国クリーブランドクリニックファンデーション 留学 2004年:神戸大学病院 整形外科 勤務 2006年:愛仁会高槻病院 勤務 2007年:ひろクリニック 開設 ひとこと 非常勤にて外来診療、手術を担当しております。専門は肩関節疾患、スポーツ障害です。通常は神戸三宮、ひろクリニックで診療を行っておりますが、北神戸地区の患者様に対応すべく真星病院でも予約患者様を中心に診療を担当させて頂いています。
長引く肩関節の痛みは、腱板断裂・関節唇損傷など関節内構造の破綻が原因となっている事も多いです。正確な診断にはMRI検査が必須となりますので、まずは常勤の整形外科医を受診して頂き、各種検査後に私の診療予約を取っていただくことをお勧めさせていただいております。 -
石田 一成いしだ かずなり
専門分野 人工関節 ・下肢関節 略歴 2000年:神戸大学医学部卒業 2008年:神戸大学大学院医学系研究科修了 2011-13年:米・カリフォルニア大学デービス校整形外科 客員研究員 • 日本整形外科学会専門医 • 日本整形外科学会 認定スポーツ医 • 日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会 評議員 • 日本人工関節学会評議員 • 日本整形外科学会リウマチ専門医 • 神戸大学医学部臨床講師 • ヴィッセル神戸チームドクター -
西澤 勇一郎にしざわ ゆういちろう
専門分野 スポーツ外傷・障害・関節鏡手術 略歴 2005年:神戸大学医学部卒業 2014年:神戸大学大学院医学系研究科修了 2014年:米・ピッツバーグ大学 客員研究員 • 日本整形外科学会専門医 • 日本スポーツ協会スポーツ医 • 日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会 関節鏡技術認定医 • 神戸大学アメリカンフットボール部チームドクター ひとこと 毎週金曜日の外来を担当し、手術も行っています。2024年4月から三田市のひろスポーツクリニックで主に診療を行っております。専門は、膝関節疾患・スポーツ障害です。全国に約100名しかいない膝関節鏡技術認定医の資格を有しており、半月板や靱帯損傷に対する関節鏡の手術を多く行っております。また、長年、神戸大学アメリカンフットボール部のチームドクターもしており、若者のスポーツ疾患も得意としておりますので、部活動やスポーツでの怪我や慢性的な痛みなども気軽に相談して頂ければ幸いです。
せぼね外来のご案内
整形外科では通常の外来診療に加えて、毎週火曜日と木曜日の午後に「せぼね外来」を行っております。腰痛症など「せぼね」に関する症状でお困りの方を対象とした完全予約制外来です。
腰椎椎間板ヘルニアに対する椎間板内注射療法を始めました
椎間板の中に薬剤(ヘルニコア®)を注入し、神経への圧迫を軽くして治療するという新しい治療法です。腰椎椎間板ヘルニアの治療としては負担が少ないのが特徴です。
注射で治す新しい関節治療 PFC-FD™療法を始めました
患者さんご自身の血小板に含まれる成長因子を抽出して関節内に注射することで、治りにくい組織の修復を促したり、早く組織修復を促す治療法です。
注射で治す新しい関節治療
PFC-FD™療法のご案内
-注射で治す新しい関節治療-
PFC-FD™(血小板由来因子濃縮物-フリーズドライ化)療法
PFC-FD™療法とは
PFC-FD™療法とは、患者さんご自身の血小板に含まれる成長因子を抽出して関節内に注射することで、治りにくい組織の修復を促したり、早く組織修復を促す治療法です。
(血小板は血管が損傷したとき損傷した場所に集まって止血をする働きがあります。その際、多量の成長因子を放出します。この成長因子には組織修復のプロセスを開始する働きがあります。)
ゴルフのタイガー・ウッズ選手や、野球では大谷翔平選手が怪我の改善に活用したことで話題になった再生医療「PRP(多血小板血漿)療法」がありますが、PFC-FD™療法はそのPRP療法を応用した技術になります。
現在ではPRP同様にさまざまな関節症や、関節周囲の靭帯や軟部組織の治療に活用されています。
【PFC-FD™療法】についての詳しい情報は下記リンクに掲載されていますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
PFC-FD™療法で改善が期待できる疾患
- 変形性膝関節症
- 変形性股関節症
- テニス肘
- 腱炎
ひざの痛み
ひじの痛み
肩の痛み
PFC-FD™療法の効果
「ひざ」をはじめとした関節疾患に対し、以下の効果が期待できます。
- 痛みの緩和
- 日常生活動作の改善(階段昇降、トイレ動作や寝返り など)
- 曲げ伸ばしや腫れといった症状の軽減
- 『日常感じる違和感や、そのために失った身体的自信の回復
PFC-FD™治療の流れ
PFC-FD™療法の費用について
自由診療のため、費用は変動する可能性がございます。
担当の整形外科 南川医師にご確認ください。
診療実績
外来延患者数 | 外来1日平均患者数 | 入院患者延人数 (24時+退院) |
1日平均患者数 | 平均在院日数 (一般病棟) |
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10479 | 35.6 | 4265 | 11.7 | 19.3 |